「パートのままで、このまま働き続けていいのかな。 正社員になったら、手取りはどのくらい変わるのだろう。」 そんなふうに迷って、この記事にたどり着いた方も多いと思います。
検索すると、「正社員登用制度があるかどうか」の説明はたくさん出てきます。
一方で、「今の園で登用を目指すか、転職するか」の比べ方や、登用制度が形だけになっていないかの確かめ方までは、書かれていない記事も少なくありません。
私は保育士8年目で、正社員だけでなく、派遣など非正規の働き方も経験しました。
元の園には、契約社員として戻りました。 この記事では、そうした経験も交えてお伝えします。
結論は、「最短ルートは一つではなく、条件を比べてから決める」ことです。
パートと正社員の違いを、金額ではなく項目で整理し、登用制度の確かめ方を質問リストにまとめました。
今の園で目指すのか、転職するのか、その間の働き方を選ぶのか。
迷っている方が、自分で決められるように、順番に整理していきます。
結論|最短ルートは「条件を比べてから決める」

結論は、「パートから正社員になる最短ルート」は、人によって違うということです。
働いている園の制度、家庭の状況、優先したいことで、選ぶ道が変わると思います。
この章では、大きく3つのルートと、決める前に整理しておきたいことをまとめます。
パートから正社員になる3つのルート
ルートは、大きく3つに分けられます。
- 今の園で、正社員登用を目指す
- 正社員の求人に応募して、転職する
- 契約社員など、パートと正社員の間の働き方を経由する
1つ目は、今の園の様子や人間関係を、すでに知っている点が強みです。 ただし、登用制度が実際に使われているかどうかは、園によって違います。
2つ目は、正社員を募集している園を、自分で選べる点が強みです。 ただし、新しい環境に慣れる負担は、あります。
3つ目は、収入の安定と、時間の自由度の、中間をとる選択です。 ただし、契約期間や更新の条件は、確認が必要です。
決める前に、優先したいことを決めておく
どのルートが合うかは、何を優先したいかで変わります。 たとえば、次の3つのうち、どれを一番大事にしたいかを考えてみてください。
- 収入の安定(月給、賞与、社会保険など)
- 仕事の範囲や責任(担任、書類、行事など)
- 時間の自由度(勤務日数、残業、家庭との両立など)
3つとも満たせる園は、なかなか見つかりません。 だからこそ、先に優先順位を決めておくと、園を比べやすくなると思います。
パートと正社員の違い|手取りは何で変わる?

「正社員になると、手取りはどのくらい変わるのか」は、気になるところだと思います。 ただ、金額は、園や地域、勤務の条件によって大きく違います。 そのため、この記事では金額は載せず、どの項目が変わるのかを整理します。
項目で比べる
次の表は、パート・非正規と正社員の、一般的な傾向をまとめたものです。 実際の内容は園ごとに異なるので、応募前や面談の前に、一つずつ確認してください。
| 項目 | パート・非正規で多い形 | 正社員で多い形 | 確認したいポイント |
|---|---|---|---|
| 給料の払い方 | 時給や日給が多い | 月給が多い | 休んだ時の収入がどうなるか |
| 賞与 | ない、または少ない園もある | 支給される園が多い | 支給の条件と、算定の対象月 |
| 手当 | 園によって異なる | 園によって異なる | 処遇改善に関わる手当の対象か |
| 社会保険 | 勤務時間などの条件で加入 | 加入 | 自分が加入の対象になるか |
| 有給休暇 | 勤務日数に応じて付与 | 通常の日数が付与 | 付与日数と、取りやすさ |
| 退職金 | ない園もある | 制度がある園もある | 制度の有無と、対象の条件 |
| 仕事の範囲 | 選べることもある | 担任や書類、行事を担うことが多い | 任される仕事の範囲 |
| 勤務時間・日数 | 調整しやすいことが多い | 決まった時間が基本 | シフトの決まり方、残業の有無 |
| 契約期間 | 期間の定めがあることが多い | 期間の定めがないことが多い | 更新の有無と、更新の条件 |
手取りが変わる3つの理由
手取りが変わる理由は、大きく3つあると思います。
- 月給、賞与、手当などの、額面が変わる
- 社会保険料や税金など、引かれる額が変わる
- 働く日数や時間が変わる
ポイントは、額面が増えた分が、そのまま手取りになるわけではないことです。 社会保険の加入などで、引かれる額も変わります。 そのため、「月給はいくら」だけでなく、「手取りで、いくらになるのか」を、園に確認しておくと安心です。
社会保険の加入条件が変わりました
社会保険の加入条件は、2026年10月に変わりました。
厚生労働省のページによると、パート・アルバイトの賃金要件(月額8.8万円以上)が、2026年10月に撤廃されています。
いわゆる「106万円の壁」と呼ばれていた条件です。
撤廃後も、次の条件があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 2か月を超えて雇用される見込みがあること
- 学生ではないこと
- 勤め先の企業の規模が、一定以上であること
企業の規模の条件は、現在は従業員数51人以上です。 今後は、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上と、段階的に広がり、2035年10月には規模の条件がなくなる予定です。
扶養内で働いている方は、働く時間や勤め先の規模によって、社会保険の扱いが変わる場合があります。 自分の場合にどうなるかは、勤め先や年金事務所で、確認してください。
有給休暇は、パートでも付与されます
パートでも、有給休暇は付与されます。
雇い入れから6か月間続けて働き、全所定労働日の8割以上出勤していることが、条件です。
週の所定労働日数が少ない場合は、日数に応じた日数が付与されます。
厚生労働省の解説では、6か月継続して勤務した時点の付与日数は、次のとおりです。
- 通常の労働者:10日
- 週4日勤務:7日
- 週3日勤務:5日
- 週2日勤務:3日
- 週1日勤務:1日
正社員との違いは、日数の多さです。
「パートだから有給がない」ということは、ありません。
私の場合|非正規で働いて感じた違い
ここからは、私が非正規で働いた経験をお話しします。
同じ非正規でも、園や契約によって、条件は違います。 これは、あくまで私の場合の一例です。
任される仕事や責任の範囲
非正規で働いてみて、まず違うと感じたのは、任される仕事や責任の範囲でした。
書類や記録の量が、正社員の時とは違いました。 保護者対応や行事、会議への関わり方も、違いました。
また、書類を自分でやるか、担任を持つか、行事に参加するかを、自分で選べました。 正社員の時は、園から任されることが多かったので、この点は大きな違いでした。
時間の自由度・働き方
時間の自由度や働き方でも、違いがありました。
- 勤務日数やシフトを、選べる
- 残業や持ち帰りの仕事が、少ない
- 家庭との両立がしやすい
一方で、気になったこともあります。
休むと、その分の収入が減る不安がありました。 時間の自由度が高い分、収入の安定は、正社員のほうがあると感じました。
契約社員で戻った理由
元の園に戻る時は、契約社員という形を選びました。 理由は、次の3つです。
- 勤務時間や日数の自由度を、残したかったためです。
- 給料や待遇の面で、納得できたためです。
- 正社員を目指すかどうかは、戻った時点では決めていなかったためです。
正社員が正解で、非正規が不正解ということは、ないと思います。
何を優先したいかで、選ぶ形が変わるということを、実感しました。
今の園で登用を目指す?転職する?判断のポイント
ここからは、今の園で登用を目指すか、転職するかの、判断のポイントです。
今の園で登用を目指す場合
今の園で登用を目指す場合の、良い点と気になる点は、次のとおりです。
- 良い点:園の様子や人間関係を、すでに知っています。 環境が変わる負担が、少ないと思います。
- 気になる点:登用制度が、実際に使われているとは限りません。 登用の時期や条件が、はっきりしない園もあります。
先に確認したいのは、登用の実績です。 次の章の質問リストを使って、園長先生や主任の先生に聞いてみてください。
転職して正社員を目指す場合
転職して正社員を目指す場合の、良い点と気になる点は、次のとおりです。
- 良い点:正社員の募集をしている園を、自分で選べます。 条件を、比べながら決められます。
- 気になる点:新しい環境や、新しいやり方に、慣れるまで時間がかかります。
保育士の求人は、全職種の平均より多い状況が続いています。
こども家庭庁の資料(厚生労働省「一般職業紹介状況」をもとにしたもの)では、令和7年7月の保育士の有効求人倍率は2.77倍で、全職種の1.18倍を上回っています。
保育士の数値は、その年度でいちばん高い月のものです。 正社員の募集も、見つけやすい環境だと考えられます。
迷った時の、3つの確認
迷った時は、次の3つを、確認してみてください。
- 今の園に、登用の実績が、実際にあるか
- 登用された場合の、仕事の範囲や給料が、納得できるか
- 登用を待つ間に、自分の希望する時期を過ぎないか
3つとも「はい」なら、今の園で目指す価値があると思います。 1つでも「いいえ」や「分からない」があれば、転職も、候補に入れてみてください。
登用制度が「形だけ」になっていないか確かめる質問リスト

「正社員登用あり」と書かれていても、実際には使われていない園もあります。
形だけになっていないかを、園見学や面接、園長先生との面談で、確かめてみてください。
聞いてみたい質問
次の質問を、順番に聞いてみると、実態が見えやすくなります。
- 「昨年度、パートや契約社員から、正社員になった方は、何人いますか」
- 「登用の条件と、時期を教えてください」
- 「登用に、試験や面接はありますか」
- 「登用されると、担当する仕事は、どう変わりますか」
- 「登用後の、給料や手当の目安を、教えてください」
- 「登用の基準は、書面で確認できますか」
- 「登用を希望した場合、いつ、誰に相談すればよいですか」
答えを聞く時の、見るポイント
答えを聞く時は、次の点を見てみてください。
- 実績を、具体的に答えてくれるか(人数や、時期など)
- 条件や時期が、はっきりしているか
- 書面で、確認できるか
- 質問に、嫌な顔をされず、答えてもらえるか
実績を聞いても、あいまいな答えしか返ってこない場合は、慎重に考えたほうがよいと思います。
制度として、決められていること
厚生労働省の資料では、パート・有期雇用の労働者を、正社員へ転換する制度について、事業主に求めていることがあります。
募集内容の周知、社内公募への応募機会の付与、試験制度の設置など、複数の措置から選んで実施する義務です。
また、待遇の違いについて、労働者から求められた場合は、その内容と理由を説明する義務もあります。
「聞きにくい」と感じても、制度として聞けることです。
遠慮しすぎずに、確認してみてください。
契約社員という選択と、無期転換ルール
契約社員のように、期間の定めがある働き方には、「無期転換ルール」があります。
厚生労働省の資料では、同じ会社との有期労働契約が、通算で5年を超えた場合、本人が申し込むと、期間の定めのない契約になるとされています。
会社は、この申し込みを断れません。
ここで、気をつけたいことがあります。
無期転換は、「正社員になる」こととは、別の話です。
無期転換後の労働条件は、特別な定めがない限り、直前の契約と同じです。
つまり、契約期間の心配はなくなりますが、給料や仕事の範囲が、正社員と同じになるとは限りません。
契約社員を経由する場合は、無期転換と、正社員登用の違いを、確認しておくと安心です。
応募書類・面接では、どう伝える?
転職してパートから正社員を目指す場合、面接では、なぜ正社員になりたいのかを聞かれると思います。
伝え方の例です。 【 】の部分は、ご自身の事実に差し替えてください。
「パートとして【○年】、【3歳児クラス】を担当してまいりました。 その中で、【担任として、一年を通して子どもたちの成長に関わりたい】という思いが強くなり、正社員として働きたいと考えるようになりました。 貴園の【クラス担任制の取り組み】に魅力を感じ、これまでの経験を活かしたいと考えております。」
ポイントは、事実を短く伝えて、これからやりたいことにつなげることです。
「給料が上がるから」だけでなく、仕事の範囲を広げたい気持ちも、伝えられると、前向きに聞こえると思います。
給料や待遇が理由の場合は、事実のまま伝えても問題ないと思います。
退職理由の伝え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
保育士の面接「退職理由」は嘘をつくべきか|嘘と言い換えの境界線
面接でよく聞かれる質問と、好印象な逆質問は、こちらの記事でまとめています。
保育士の転職面接、よくある質問と好印象な逆質問
履歴書や自己PRの書き方に不安がある方は、こちらの記事も、あわせてご覧ください。
保育士の転職、何から始める?好印象な履歴書・自己PRの書き方
勤務が空いた期間がある場合の書き方は、こちらの記事で解説しています。
保育士の転職、履歴書の「ブランク」の書き方【例文あり】
登用制度や求人の条件を、自分では聞きにくい時は、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。
求人の紹介だけでなく、希望条件の整理から相談できます。
まとめ|パートから正社員への道は、条件を比べて決める
最後に、この記事の内容を3つにまとめます。
- ルートは一つではありません:今の園で登用、転職、契約社員などを経由する道があります。
- 手取りは、項目で比べます:額面だけでなく、社会保険や賞与、手当、勤務の条件まで確認します。
- 登用制度は、実績で確かめます:「制度がある」だけでなく、「実際に使われているか」を聞いてみます。
正社員になることが、すべての人にとっての正解とは、限らないと思います。 収入の安定、仕事の範囲、時間の自由度の、どれを優先したいかで、選ぶ道は変わります。
私自身、非正規で働いて、時間の自由度の良さと、収入の不安の両方を、実感しました。 どちらが良い悪いではなく、今の自分に合う形を、選ぶことが大切だと思います。
まずは、気になる園の登用の実績を、質問リストで確認するところから、始めてみてください。
転職を考え始めたら、まず条件の整理から
「今すぐ転職する」と決めていなくても、相談はできます。
今の園の条件と、希望する働き方を並べてみるだけでも、考えが整理されます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 少しでもお役に立てたらうれしいです。

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